スレイヤーズ Old!!
あたしは夢を見ていた
遠い昔の夢
それは、あたしが10代後半の頃の・・・
今までの人生の中で、一番いろいろなことがあった時期の
夢の終わりが近付く頃
一人の女性があたしの前に現れた
長いプラチナ・ブロンド銀髪の美人であたしの見知ったひと女性だった
「ミリーナ・・・・・?」
呼んだあたしの声に気づいたのか、ミリーナはあたしに振り向き
微笑んだ、そしてあたしにこう言った
セレンティアで待ってます・・・・・・・・・・・
「ちょっと、それはどういう・・・・・・」
あたしが聞き返す前に彼女は消えてしまった
そして、あたしは目を覚ます
やわらかな朝の日差しが窓から入りこんでくる
あたしはベッドから身を起こし
ミリーナのいった一言を考えていた
セレンティアで待ってます・・・・・・・・・・・・
「なんで今ごろ・・・・・って今考えても仕方ないか、ご飯食べよ」
言ってあたしは着替えてリビングへ向かう
そこにはもうすでに家族が集まっていた
「おはよう、遅かったな、リナ」
そう言ってきたのはガウリイだった
若い時のような長い金髪ではない、顔にもくっきりとシワが刻み込まれている
「珍しいですね、おかあ義母さんが一番遅く起きてくるなんて」
微笑みながらあたしたちの息子のお嫁さんであるシモンさんが
朝食をあたしの前に並べてくれる
「ちょっと昔の夢を見ててね」
ハムエッグを突つきながらあたしは言った
「昔ってどれくらい昔なんだ?」
ガウリイが紅茶をすすりつつ聞いてくる
「あたしが元気に盗賊いぢめやってた時よ」
「あのころかぁ」
しみじみといってくるガウリイ
(あんた、本当に覚えとるんか?)
「そう、あの頃よ」
内心思ったことはあえて言わずにあたしは続ける
「それで、夢の最後に懐かしい人が出てきてね」
「懐かしい人?」
シモンが聞いてくる
「誰なんだ?」
ガウリイも不思議そうな顔をして聞いてきた
「ミリーナよ」
その名前を聞いたガウリイは身を乗り出して
「ミリーナって、あの!?」
あたしは内心おどろきながら
「多分そのミリーナよ、でもよくガウリイが人の名前覚えてたわねぇ」
ガウリイは寂しそうな顔をして
「まぁな、でも、まだあのこと引きずってるのか?」
「まさか、もう、四十五年も前のことよ、そんなことないわよ
でも、消える前に気になること言って消えちゃったのよ」
「気になること?」
ガウリイが聞き返してくるのにあたしはうなずいて
「彼女、消える前に 『セレンティアで待ってます』って言ったのよ」
「は?」
ガウリイが目を点にして間抜けな声を出した
「それはど−ゆーことだ?」
聞き返してくるガウリイに
「あたしだってわかんないわよ、行ってみるしかないでしょ、セレンティアに」
「行くって、お義母さんお年を考えてください」
シモンがストップをかけてくる
「だぁいじょうぶよ、ガウリイ連れていくから、ムチャもしないわよ」
あたしは、心配するシモンにカルく言った
「って、オレもいくのか!?」
ガウリイは心底嫌そうな顔をしていた