スレイヤーズ Old!!


「へっへっへ、死にたくなかったら、金目のもの置いてとっとといきな!」
なんのヒネリも無い威し文句を並べる野盗たち
 ふぅ・・・・・・・・・
僕はため息をついた
「なんだてめぇ、ため息なんてつきやがって!」
僕のため息を聞いて気を悪くする野盗たち
ため息もつきたくなる、 セレンティアに行くというばあちゃんに、姉と一緒に強引にひっぱられ、
そのまま 出発、街を出たとたんに野盗のお出ましである
僕は野盗に向かって言おうとしたその時、馬車の上からいきなり声がした
「なぁに、いきなし出てきてんのよ野盗の分際で」
「なんだとぅ!」
・・・・あぁっ、野盗の気を逆なですることをっ!?・・・・
その言葉を言ったのは言うまでも無い、僕の祖母、
若い頃は「ロバーズ・盗賊キラー殺し」と呼ばれていた リナ・インバースである
「お、おばあちゃん、お願いだからおとなしくしていてね」
慌ててストップをかけたのは、年のころなら17、8 長いプラチナ・ブロンド銀髪の美人である
「何言ってんのよ、ルーナちゃん所詮野盗なんて金ヅルよ、顔が怖いだけのザコじゃない」
姉に言われても何も変わらない
言いきったか、ばあちゃん・・・・・
「おい、いいのかリナ野盗の人たち怒ってるぞ」
心配そうに止めたのは僕のじいちゃん、若い時は超一流の剣士だった、ガウリイ=ガブリエフである
「いーのよ」
あっさりと言ってのけるばあちゃん
「く、この、たたんじまえ!」
いきなり号令をかけて手下どもをけしかけてくる野盗の頭
「ふっ、何をやっても無駄よ、やっちゃいなさい、フェリス」
はいはい
内心でそう返しながら、僕は、唱えていた呪文を解き放つ
「ファイアー・ボール火炎球!」
ちゅどごーん!!
「のはひぃぃぃぃぃぃ!」
あっさり吹っ飛ぶ野盗たち
・・・あーあ、これからずっとばあちゃんに気をつかわにゃぁならんのかいな・・・・
そんな僕の心の中でも呼んだかのように姉さんが慰めてくれる
「我慢しなさいねフェリス、姉さんもついてるから」
そういて微笑む姉、僕は
「できるだけ善処します」
疲れた声で言った
まだ出発したばかりだと言うのに・・・セレンティアは遠い
野党のアジトを嬉々としてあさるばあちゃんを尻目に僕は深々とため息をついた


「結局夜になったか・・・・」
そう言ったのは他でもない、不幸な少年こと僕、フェリス=ガブリエフである
昼に野盗の襲撃を受けあっさり返り討ちにしたまではよかったが
野盗のアジトをあさりに行ったばあちゃんによって予定が大幅にずれ、昼過ぎにつくはずだった
この町につくのが遅くなったのである
「いいじゃない、路銀の足しにもなるし」
カルく言い放つばあちゃん、性格だけは若い頃と少しも変わってはいない
「まぁ、着けたからいいじゃないか」
じいちゃんがそう言ってくる
あんたは良いだろうさ・・・・・付き合わされる身にもなってくれ
そうは思うが口には出さない
「早く宿を取って休みましょ」
唯一の救い(?)である姉がそういって一軒の宿屋を指していた
宿屋の一階にある酒場で、僕たちは遅い夕食を取っていた
「ちょっとガウリイ、それあたしのよ!」
「なに言ってんだリナ、冷めたらおいしくないだろーが」
激しく料理を取り合う二人
「おじいちゃんも、おばあちゃんも、そんなに急がなくても料理は逃げないわよ」
少々引きつつ二人に言う姉
「姉さん、食事中のこの二人に言っても無駄だよ」
横目で二人を見つつ、疲れた口調で言う僕
・・・・まるでハイエナだな・・・・・・
「まぁ、いつものことだけどね」
そう言って微笑む姉
「そうだね」
言って僕は紅茶をすする
「明日は順調にいくといいわね、じゃあ、お休み」
さすがに疲れたのだろう、姉は自分の部屋へ行った
まだ食べている二人を横目に僕はつぶやいた
「・・・・無理だよ」
じいちゃんはともかく・・・・ばあちゃんはね・・・・・・・・・
明日は何事も無ければ良いと願いつつ僕も自分の部屋へ戻った