スレイヤーズ Old!!
『セレンティアシティーにおける神官長焼死及大神官死亡事件事後報告書』 この分厚い資料の題名だ、紙は古くなって黄色くなっており古いことがうかがえる セレンティアに入った日の夜以来ばあちゃんは事件のことは何も言わなくなった 何を聞いても答えてくれないので自分で調べることにしたのだ 僕以外誰もいないセレンティアシティー魔道士協会の閲覧室 静寂だけが部屋を支配しているなぜこんな資料が役所じゃなく魔道士協会にあるのか 答えは簡単、寺院などは魔道士協会のお得意様だから寺院や、 神殿などの神官は魔道士ではない、 だけど怪我や病気の治癒などと言った神の奇跡を起こさなければならない、 そうしないとお布施ももらえないし と、言うわけで魔道士協会が回復系の魔法のノウハウを寺院などに売っているのだ そのお得意様の事件ともなれば魔道士協会も利益のために事件の解決に動かなければならない で、結局こういう資料が残るわけ 「にしてもかなり厄介な事件だったんだねぇ」 資料の量を見ると事件や事故の内容はわからないが規模は大体分かる たいした事の無い事件の資料はたいてい薄いからだ 「これ全部見終えるのに何日かかるんだろう・・・」 僕は憂鬱げに資料を開いた 「まずは事件にかかわった人だ」 何枚か資料をめくった所でよく知った二人の名前を見つけた やっぱり・・・・・・ 「おばあちゃん、その・・・お墓参りに行かない」 ばあちゃんの顔色をうかがいながら言う姉さん ばあちゃんはセレンティアにきて今起きてる事件が四五年前に似ている とわかってから自分の部屋にこもりきりだった それを見かねて姉さんが提案したのだが・・・・ 「・・・・」 ばあちゃんは黙ったまま外を見ている そのまま沈黙がしばらく続き 「リナ、逢いに行こうミリーナにそれが当初の目的だったんだろ」 姉さんに助け舟を出したのは横で見ていたじいちゃんは言った ばあちゃんは少し考え・・・・・・・ 笑顔で 「そうね、あたしらしくないよね鬱になってるのって」 そう言ってふたりに微笑み返した 事件の発端はこの資料の題名のとおり この街のすべての寺院をを束ねる神官長の死だった 死因は焼死その原因となった火事の出火元は神官長のいた部屋 その部屋にあった多くの蝋燭が倒れたかなにかして燃え移ったのだろう (事故当時のそのままの状態で残っているわけ無いか・・・・・・) 寺院都市の二つ名で呼ばれるのは伊達ではない、かなりの寺院がこの街にはある その寺院を統括する本院を事故当時のまま建て替えないなんてありえない 「現場、見てみたかったんだけどな」 現場と言っても四五年前の事件の現場である今起こっている事件の現場はもう見てきている やっぱりこの資料にあるように本院が焼けていたのだ ただしこの資料は四五年前のもの、ということは・・・・・・・・・・ 「ばあちゃんの言う通り四五年前の事件にそっくりって事か」 僕は独りごちてまた考えをめぐらせる 犯人は誰なのか、こんな事件が自然に起こるわけが無い 以前と同じ事が繰り返されている時点で不自然なこと極まりない 誰が、どういう目的でこんな手の込んだ事をするのか いまここで『私が、犯人だ!』とか言って出てきてほしいところだが・・・・・ 来るわけ無いし 「はぁ〜」 まだ十分の一も消化していない資料を前に僕はため息をつき机に突っ伏した と、不意に僕の周りが陰る 「!?」 僕はいぶか訝ることを自制して背後に 殺気を放った 黄昏時、セレンティアシティー共同墓地 ばあちゃんとじいちゃんそして姉さんが一つの墓の前に立っていた 「こんなに草にまみれて」 長く誰も参ってきていないのだろう、その墓の周りだけ草が生い茂っている 「ここに来るのあの事件のとき以来ね・・・・」 ブラム・ファング風牙斬 姉さんが呪文であたりの草を刈った 「ありがとう、ルーナちゃん」 「リナ、花」 そういってじいちゃんが花束を渡した それを供えて 「ミリーナさんって家名は無いの?」 墓を見て不思議そうに聞く姉さん 「聞けなかったのよ、気づいたらもう・・・・遅かったの」 鎮痛そうな表情を浮かべるばあちゃん 「それは仕方の無かったことだろう、おまえがそういう風に背負い込むことじゃない」 珍しく真剣な顔で言うじいちゃん じいちゃんもまたこの町で苦い経験をしているのだ 二人の顔を見ながら姉さんは思った 「お、おい待てよ殺すつもりじゃないだろうな!」 背後にいる男は慌てて言った 僕は向き直り 「気配も殺して音まで風の結界かなんかで消してまで部屋に入ってきたあんたの言えた事か?」 そうしゃべっている間に男を凝視してみる 燃え盛る炎のような短い赤い髪に悪い目つきライト・軽装メイル鎧、 そして複雑なこしらえの剣を帯びた戦士風の男、 しかしこん魔道士な協会とのころ閲覧室に来るということは魔道士の確率が高い 「じゃぁ、何でてめぇはいきなり殺気なんて放ちやがる、殺されるかと思ったぞ、まぢで」 それはそうだ、殺すつもりで殺気を放っていたのだから 「で、何でこんな手の込んだことして人に気づかれずに入ろうとしたんだ」 ジト目でにらむ僕、まだ殺気を放ちつづけている その殺気に少々ビビリながら男が言う 「魔道士協会に雇われたんでね、今回の事件のことで」 「それで、前にも同じ様な事件があったと聞いてここ閲覧室に来たってか?」 「同じ様な、じゃ無くて・・・・まったく・・同じの間違いだろ」 赤毛の男の言ったことに思わず声をあげてそうになったが何とか自制して 「へぇ、そんな話は評議長には聞かされなかったけど」 そう聞いて男は不適な笑みを浮かべ 「なら、何でここにいるのかな?」 「僕の親戚が四五年前の事件に絡んでいたもんだから、ちょっと気になって調べに来ただけ」 男は面白がるような目をして 「へぇ、親戚ねぇ・・・」 ふと、僕はあることに気づいた 「ところで、あんた誰?」 「ああ、自己紹介がまだだったな、俺はラーク=スタンフォードってもんだ」 意外と素直に名乗りやがった・・・・ 「僕は、フェリス=インバースです」 僕がそう名乗ったときラークの表情に微妙変化があったのを棒は見逃さなかったが ほうっておくことにした・・・・そのとき ばたむっ! 大きな音を立てて開くドア そこから魔導士協会の職員が息を切らせて立っていた 「あんた、こんなところで何してるんだ!」 その男の剣幕に僕は一瞬たじろぎ 「過去の資料を見てたんですけど」 「そんなことしている場合じゃないぞ、空竜王の神殿の新官長が何者かに殺された!」 ・・・・・!? その言葉を聞くや否やぼくは部屋を飛び出し 空竜王の神殿へ