[スティーブの蜜]



あたし達二人はすでに大変な事に巻き込まれていた。
「ガウリイ!あんた何すんのよ!!」
あたりにリナの声が木霊した。
「だってよー。仕方ないじゃないかー。
ここの料理にスティーブ蜜だかなんだかが入っていたんだから。」
ガウリイは無実を主張した。
「もう。その体はあんたの物じゃないんだから丁寧に扱いなさいよ!!」
リナは意味の分からない事を言っていた。
「じゃぁ、リナ。その体だってお前のじゃないんだから丁寧に扱えよ。」
「あ。ガウリイのくせに生意気。」
リナはガウリイの言葉を生意気の一言で流した。
「生意気って・・・関係ないと思うんだが・・・」
ガウリイはぽつりと呟いた。
「リナさ〜ん。ガウリイさ〜ん。」
後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「アメリア!?ゼル!?」
そこに居たのはアメリアとゼルガディスだった。
アメリアとゼルガディスとは、ある事件をきっかけに知り合い、以前一緒に旅をしていた仲間だ。
「久し振りじゃないの。元気だった〜?二人とも。」
リナは二人の所へ駆け寄った。
「アメリアの元気じゃない所想像つくか?と言うより、見たことあるか?」
ゼルガディス苦笑しながら言った。
その言葉を聞いていたアメリアはプーっと頬を膨らませていた。
「ゼルガディスさんのいじわるっ!?」
アメリアはプイッと反対側を向いた。
「何いじけてるのよ。アメリアらしくないわよ。」
リナは笑いながらアメリアに言った。
「リナさん・・・そうですよね!!正義を信じる心があれば、
そんな言葉気にも止まりませんよね!?」
アメリアは分かったんだか分かっていないんだか分からない言葉を投げ掛けてきた。
「それより・・・リナさん。大分性格変わりましたね。」
「確かにそうだな。今までならズバズバ言っていたもんな。」
ゼルガディスとアメリアは交互にそう言った。
「あのさ〜・・・・そいつガウリイだよ・・・・・」
ガウリイの格好をしたリナがそう言った。
『へ?』
2人は間の抜けた声をあげた。
「だから〜〜あたしとガウリイは中身が入れ替わっちゃったの!!!」
リナは怒鳴り声で言った。
「何で入れかわ・・・・まさか!!」
ゼルガディスは唐突に声を上げた。
どうやら分かったらしい。
『スティーブの蜜!?』
アメリアとゼルガディスは声を合わせてそう言った。
「そう・・・・・まさかこの料理に入ってるなんて・・・・・」
リナはため息まじりの声で言った。
「ですが、どうやって元に戻るんですか??」
アメリアは心配そうな顔でリナとガウリイの顔を交互に見つめた。
「もう1度スティーブの蜜を飲めば元に戻るわ。」
リナは静かにそう言った。
「なら!!」
アメリアはリナの腕を掴み外へ出ようとした。
「あたしとガウリイは・・・・これ以上先へはいけないわ・・・・・」
リナはガウリイの顔を見て言った。
「どういうことだ?」
ゼルガディスはやっと口を開いた。
「たぶん・・・・もう何時間したらあたしもガウリイもこの蜜のある症状が出るはず・・・・・」
「症状?」
アメリアは首をかしげた。
「高熱が出るの。脱水症状にもなり・・・・はやくしないと死にいたる・・・・・」
リナは下を見たままそう言った。
「そういえば・・・・さっきからガウリイ一言も喋らないわね・・・・」
そう言いリナは手をガウリイの額に押し当てた。
「なっ!!ガウリイ凄い熱よ!!なんで言わなかったのよ!!
てか、なんで立ってられんのよ!!」
リナはガウリイの肩を掴み、部屋へ入っていった。
勿論ゼルガディスとアメリアも・・・・・

「・・・・ガウリイはもう発病しちゃったのか・・・・・」
リナはガウリイの額に濡れたタオルを置くとそう呟いた。
「こういうことよ・・・・・実際にみて分かったでしょ?」
「あぁ・・・・俺たちだけで探してくる・・・・・」
「ごめん・・・・ね・・・・」
そう言うとリナも倒れた。
アメリアは駆けつけて額に手を当てた。
「ガウリイさんより熱が高いです!!」
そう言うとゼルガディスとアメリアでリナをベットに乗せた。
「・・・・・早くしないと2人の命が・・・・・・・」
アメリアはいつにもなく冷静さを失っていた。
「ちっ・・・・行くぞ、アメリア!!!」
そうゼルガディスは叫ぶと駆け出した。

「・・・・この辺にスティーブの草が生えてるって・・・・・・」
アメリアは地面を手探りで探した。
「そう簡単には見つからない物だぞ・・・・」
「あ!!ゼルガディスさん!!ありました!!」
そう叫びアメリアは草に手を伸ばし・・・・
触れた瞬間パッと光った瞬間、草は枯れてしまった。
「え?」
アメリアは声を上げた。
そう、触れた瞬間目の前で枯れてしまったのだ。
「どういうこと!?なんで消えちゃうの!?」
アメリアは混乱していた。
「落ち着け。落ち着け、アメリア!」
ゼルガディスはアメリアの肩をガシッと掴んだ。
「う・・・あ・・・・すみません・・・・・」
アメリアは落ち着いたらしく、いつものアメリアになっていた。
「この辺にまだあるかも知れません!」
アメリアはそう言うと探し始めた。
「アメリア、見つけたらさわらずに俺に教えてくれ。」
「はい!」
そう言い、2人は探し始めた。

「あ・・・・ゼルガディスさん、ありました!!」
アメリアはさわらずに叫んだ。
「けど、どうやって取るんですか??」
そう言った瞬間ゼルガディスの手がアメリアの手に伸びた。
「え?」
声を上げた瞬間、ゼルガディスはアメリアの手をしっかり握っていた。
「良いか?アメリア。この草は心の通じ合った者が男女で触れて抜かなければいけないんだ。」
ゼルガディスはそう言った。
「え?」
アメリアはゼルガディスの言葉に顔を赤らめた。
「照れている場合じゃないぞ。お互いを思う気持ちを忘れるな。良いな?」

リナはうなされていた。
「リ・・・・ナ・・・・・」
ガウリイは顔をリナの方に向けた。
「あ・・・う・・・・ガウ・・・リイ・・・・」
リナはどんな夢を見ているのか・・・・ガウリイの名前を呼びながらうなされていた。
その時・・・・・
ばん!!!
ドアの開く音が響いた。
「リナさん!!ガウリイさん!!」
アメリアはドアを開けると走った。
その後ろから蜜を持ったゼルガディスも入ってきた。
「はやく、ゼルガディスさん。」
そう言われ、ゼルガディスは蜜をガウリイの口に入れた。
まだガウリイの方が症状が浅く、すぐ飲めると思ったからだ。
思ったとおりガウリイはすぐに熱が引き、目が覚めた。
「う・・・く・・・」
「ガウリイさん!!」
「あーーー・・・・・元に戻ってるぞー」
ガウリイはリナの体で目が覚めていなかった。自分の体で元に戻っていた。
「あとはリナだけか・・・」
そう言い蜜を口に流し込もうとした。
ごぽっ・・・・
音を立てて蜜は口の中から出てきた。
リナは蜜を飲み込めないのだ。
「くそっ・・・・どうすれば・・・・」
ゼルガディスはそう声をあげた時。
「ゼル。その蜜、ちょっとくれ。」
ガウリイはそういいゼルガディスから蜜をもらった。
口に含み・・・・・
とくんとくんとくんとくん・・・・・・
ガウリイの口からリナの口へ密が流れていった。
この時、リナは蜜をこぼすことなく飲んでいた。
「う・・・・ん・・・・」
リナは目を覚ました。
そして・・・・・
「何すんのよ、ガウリイ!!!人が気失ってるのを良い事に・・・・何をしようとしてんのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リナは目が覚めるとともに元気になっていた。
そして、まだまだリナ達の旅は終わらない・・・・・・・




おわり






後書き
やっと終わった。スレイヤーズ [スティーブの蜜]です。
こんな話ですが楽しんでもらえたかしら??
それではまた、何かの後書きでお会いしましょー♪