少年たちの、あるさわやかな一日 (上)


 ここは、国のはずれの小さな村。
「おーい。ゼロス−。
 おまえの母さんが、呼んで来いって言ってたから着たぞー」
 がちゃ。
 村はずれの小さな小屋の戸を叩く金髪の少年。言わずと知れた、
くらげ頭ことガウリイである。
 ちなみにこの小屋は、ゼロスが一人で怪しげな実験をする専用のもの。
 しょっちゅう家の一部を吹っ飛ばすので、最近は別の小屋で研究中である。
「勝手にあけていいですよ」
 言われる前に開けてるって。
 ともかく、ガウリイは小屋の中に入る。
 中は、いつもと変わらず怪しげな袋や液体が満載。
「相変わらず、色んなものがあるな〜、ここ」
「勝手に色んなもの触らないで下さいよ」
 地雷型ライター(なんに使うんだそんなもの)の開発に集中しているゼロス。
 視線をそこから離さない。
 離せば良かったのに。
「お?
 これなんだ?」
 ガウリイが、手近にあった袋の端を持つ。

 ぐらぁ・・・

 どさどさどさどさ!!!!

「だから言ったじゃないですか!!
 色んなものに触らないで下さいって!!」
「そんなこといまさら言われても・・・」
「最初に言いましたって・・・(ため息)」
 部屋中に広がる、粉の雲。
 まあ幸い、ガウリイがひっくり返したのはただの小麦粉だが・・・
「とにかく、片づけを手伝ってもらいますよ」
 言って立ち上がるゼロス。
「あ、ゼロス。
 おまえの一歩先に何か落ちてるぞ」
「これだけ散らかってるんですから、何でも落ちてるんじゃないんですか」
 だが。
 ゼロスよ。今回は彼の忠告を聞くべきだったぞ。
 足元にあったのは・・・
 地雷型ライター。




 可燃性の粉末が、空気中に待っているときに炎が上がると、爆発的にそれが燃えだす。
 炭塵爆発と呼ばれるそれは、鉱山の敵である。
 ちなみに、小麦粉は可燃性。




 どん!!

 その日、村はずれの小屋が爆発した。